kyoneco’s blog

教育、数学、統計といったテーマについて考えていきます

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

自然実験の有用性

自然実験は、社会制度や歴史的な偶然から、あたかも原因が操作されたかのような状況を利用して因果関係を推定する手法です。2021年のノーベル経済学賞では、社会の変化の前後を比較し、労働市場の分野で業績を残したアメリカの大学の研究者3人が選ばれていま…

すべての学習の基礎となる読解力

小学校に上がってからは、通常は授業や塾でもなにか教本をもとにして知識の獲得とそれの定着をはかるということになります。つまり、知識を得るための基礎は、読むことになります。今回は読むことについて考えていきます。 教本にかかれている文章を読み、自…

数を数える練習 日常生活の中での取り組み

- このような数の基本的な能力が身についたら、基本的な問題を解かせるようにする。 数の知識を使って算数の問題を解くことで、その知識を応用・発展させ、自分の算数力に自信を持つことができるようになります。

集合に数字を対応させる 記憶ゲーム

・ものの集まりに数の言葉や数字を対応させるように促す。 数量を認識し、数え、比較する練習をしたら、数量を表す方法として数詞を導入します。数を数えるよりも先に、身の回りの環境(電子機器、道路標識、テレビなど)から数字を認識することもあります。…

量の比較 具体的な教え方

点数を競うゲームをしながら、増倍則( increasing magnitude principle )の練習ができます。例えば、2人の子供に、2組のブロックなどで表した点数を比較させて、どちらが多くて勝ったかを数えさせます。具体的には、「A君は5つ持っているけど、B君は1、2、3…

数を数えることによる集合の大小の比較

・複数のものの集まりを認識したり数えたりできるようになったら、数詞や数え方を使って量を比較する機会を与える。 Subtizingや1対1の対応による数の数え方によって、コレクションに含まれるものの数を確実にわかるようになったら、数詞を使って異なる大…

数感を獲得させる 1対1のものの数え方

次に、ものの集まりの内の総数を特定する手段として、1対1に対応させて正確に数えることができるように促します。 小さな数の認識(Subitizing)は、一対一の数え方の原則を学ぶための基礎となります。多くの場合、数の順序(「1、2、3、4...」)を暗唱する…

証明の読み方・考え方 読書メモ 第11章

kyoneco.hatenablog.com 証明の読み方 11章 特殊な証明法 Bが特殊な形をしているときに、それに対して決まった証明法がある。 1.一意性の証明法 まず、求める対象が存在することを示す。これが、構成法か背理法を用いて示されたならば、次にすることは一意…

実際に効果のある教材はあるの?

これまで就学前教育と算数をテーマにガイドラインを読み込んで来ました。 https://ies.ed.gov/ncee/wwc/Docs/PracticeGuide/early_math_pg_111313.pdf RCTを経たエビデンスをみてきて、効果のある勧告についても触れました。 ここまでくると、思うこととして…

教育エビデンスを実践してみる

続きです。 kyoneco.hatenablog.com 勧告1の具体的な実施方法についてみていきます。ページ21に記載されている部分をまとめます。 https://ies.ed.gov/ncee/wwc/Docs/PracticeGuide/early_math_pg_111313.pdf Recommendation 1.Teach number and operations…

教育エビデンスを読み込んでみる その2

前回の続きです kyoneco.hatenablog.com 具体的に、提言1が推奨している内容とそれをどのように実施したらよいかについてみていきます。 このガイドラインの提言中に"Developmental progression"という言葉がよくでてきます。この記事中では、とりあえず「…

教育エビデンスを読み込んでみる

前回の記事の続きです kyoneco.hatenablog.com WWC | Teaching Math to Young Children https://ies.ed.gov/ncee/wwc/Docs/PracticeGuide/early_math_pg_111313.pdf についてもうすこし詳細に読んでいきます。テーマは就学前教育・算数・数学です。 今回のガ…

教育エビデンスを利用してみる

各国でランダム化比較試験を経たエビデンスを用いた教育政策が行われています。今回は米国教育省、教育科学研究所(Institute of Education Sciences, IES)が設立した、WWC( What Works Clearinghouse)が公表しているガイドラインをみてみます。 教育全体では…

教育とエビデンス

医療業界では、エビデンスに基づく医療はもう当たり前です。各学会が出しているガイドラインには対象となる疾患の診断や治療について、標準的に行われるべき内容が記載されています。その根拠となるのが、その分野での研究論文です。これは臨床試験が実施さ…

授業を活用することの重要性 その4

関連記事 kyoneco.hatenablog.com 授業の構造を最初に解き明かすというのは重要です。この1回の授業がその科目の複数からなる授業のなかでどういった位置づけなのかを知ると理解がすすみます。先読みのところで、構造を把握することについて述べましたが、…

授業を活用することの重要性 その3

授業の考察についての続きです。 kyoneco.hatenablog.com 1回の授業で、生徒にとって、これまで知らなかったたくさんの情報が与えられます。その情報を整理して頭の中にいれて、他の人に伝えられるようになるというのが理解するということです。例えば、授業…

授業を活用することの重要性 その2

関連記事 kyoneco.hatenablog.com 授業というものについて、いちから分析しなおしてみたいと思います。 学校は同年代の生徒達が平日、授業をうけるためにくるところです。そこにくる生徒達は40-50人を一つの単位として教室に集められます。これをクラスとよ…

授業を活用することの重要性

生徒や学生は学校での滞在時間は一日のなかで大きな部分を占めます。例えば中学では、年間1200時間は授業に時間をつかっているのが普通のようです。この授業に使っている時間は決して少なくないのです。365 * 24 = 8760 h1日のうち生命維持に必要な時間 =睡…

能力は評価できて伸ばすことのできるものなのか

前の記事への考察です。 kyoneco.hatenablog.com 能力について、遺伝の影響が大きく効いていそう(50-70%)だというのは、わかりました。これはある種当たり前というところではあります。各個人の経験に照らし合わせてもそうではないでしょうか。学校のクラ…

学力について先天的な影響はどの程度あるのか?

学力について遺伝の影響はどの程度あるのかというテーマはおそらく古いものとは思いますが、子を持つ親はみな気にかかるところだと思います。 それに関連した日本人学童を対象にした研究を読んだので私が重要だとおもった点についてまとめておきます。 ---- …

証明の読み方・考え方 読書メモ 第10章

続きです kyoneco.hatenablog.com 証明の読み方 10章 否定の否定の決定法 ・いくつかの限定詞を含む文の否定 NOTを作る場合、次の3段階の操作を行う1.全体の文の前にNOTをつける2.NOTがある限定詞の左にあるとき、それを限定詞の右に移して、「あること…

証明の読み方・考え方 読書メモ 第9章

続きです。 kyoneco.hatenablog.com 証明の読み方 9章 対偶法 ・対偶法は、はじめにAとNot Bが真であると仮定する。Not Bだけから前向きに推論を進め、Aが偽である(NOT A)という矛盾に到達することを目標とする ・対偶法は、仮定Aが「受動的」に矛盾を与…

証明の読み方・考え方 読書メモ 第8章

続きです。 kyoneco.hatenablog.com 証明の読み方 8章 背理法 ・前進後退法でうまくいかないときもあり、そのときには背理法をもちいるとよいことがある ・背理法を用いる場合、前進後退法と同様にAが真であると仮定して推論をすすめる ・Bが真であるという…

東大理III合格者の勉強法 その2

続きです。 kyoneco.hatenablog.com 個別の教科に関してです。 英語、国語、数学といった基礎力があれば、理科は1年程度の追い込みでなんとかなるといっている人が多いです。これは、数学などの基礎的な科目の学習による、いわゆる潜在的な学力向上の効果に…

長い目でみるとわずかな実力の差が大きく効いてくる

面白い確率に関しての記事を読みました。 解法の探求・確率 - 東京出版の公式直販オンラインショップ 東京出版WEB STORE 場合の数や確率に関する演習において大変な良書です。そのなかでも読みものとしても面白いです。その書籍 解法の探求・確率のなかで、…

東大理III合格者の勉強法

関連記事 kyoneco.hatenablog.com kyoneco.hatenablog.com 最近Youtubeなどで東大理III合格者の勉強法について複数人みる機会がありました。そのなかで共通する要素を抽出しまとめます。 東大理III合格者の背景ですが、難関中高一貫校卒業者が多数を占めてい…