教育エビデンスを利用してみる
各国でランダム化比較試験を経たエビデンスを用いた教育政策が行われています。今回は米国教育省、教育科学研究所(Institute of Education Sciences, IES)が設立した、WWC( What Works Clearinghouse)が公表しているガイドラインをみてみます。
教育全体では広範になりすぎるので、テーマとして、就学前教育・数学として範囲を限定してみます。
ホームページのトップをみてみると、数学、言語などの各項目についてまとめられています。
今回は、エビデンスに基づいた実施することを推奨している勧告がまとまってあるPractice Guidesをみてみます。これらはたくさんの報告があるのですが、今回のテーマにあう内容である、「Teaching Math to Young Children 幼い子供たちに数学を教える Released: November 2013」を選択してみます。
WWC | Teaching Math to Young Children
幼稚園、幼稚園、幼稚園の子供たちに数学を教えるための5つの推奨事項がエビデンスの強さとともに記載されています。項目のタイトルの概略は次のようになります。
1 数とその操作を教える
2 幾何学、パターン、測定、データ分析を教える
3子供達がすでに知っていることに関連づけて教える
4子供達に自分の世界を数学的に見て説明するように教える
5 毎日数学を教え、学校での数学の指導とあわせる
勧告のFullバージョンはpdfで164ページあります(
https://ies.ed.gov/ncee/wwc/Docs/PracticeGuide/early_math_pg_111313.pdf#page=18
)。
全部要約したり閲覧するのは時間がかかるので、エビデンスレベルがもっとも高い、
[Recommendation 1. Teach number and operations using a developmental progression.]をまずみてみます。
• First, provide opportunities for children to practice recognizing the total number of objects
in small collections (one to three items) and labeling them with a number word without needing to count them.
• Next, promote accurate one-to-one counting as a means of identifying the total number of items in a collection.
• Once children can recognize or count collections, provide opportunities for children to use number words and counting to compare quantities.
• Encourage children to label collections with number words and numerals.
• Once children develop these fundamental number skills, encourage them to solve basic problems.
翻訳してみると、
・まず、2−3個のものの集まりについて、それらが全部で何個あるのかをわからせるようにする。そのものの数を数えさせることや数を数えることをしないで区別するような教え方もしてみる。
・次に、あるものの集まりのなかにあるもののすべての数を特定する方法として、1対1に対応させる数え方が正確にできるようにする。
・ものの集まりを認識したり、数えたりできるようになったら、数詞の使い方や量を比較して数を数えるやり方を教える。
・ものの集まりに数詞や数字を対応させるようにする。
・こういった数に対する基本的な能力が身につけたら、基本的な問題を解かせるようにする。
といったところでしょうか。
数を数える、なにかと対応させる・数詞であったりものであったりそしてものの量に対する感覚も訓練させて問題演習で定着させるといったところでしょう。
どういった経緯でこういった訓練が有効なのかなどはFullバージョンに記載されておりそれについてさらに深めていきたいと思います。
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