kyoneco’s blog

教育、数学、統計といったテーマについて考えていきます

教育エビデンスを実践してみる

続きです。

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勧告1の具体的な実施方法についてみていきます。ページ21に記載されている部分をまとめます。

https://ies.ed.gov/ncee/wwc/Docs/PracticeGuide/early_math_pg_111313.pdf

Recommendation 1.
Teach number and operations using a developmental progression.
• First, provide opportunities for children to practice recognizing the total number of objects in small collections (one to three items) and labeling them with a number word without needing to count them.

・まず、1~3個の中にある物の総数を認識し、数を数えることなく、数字の単語で対応づけする練習をする機会を提供する。

 

この勧告の重要なポイントは”Subitizing”のことについていっています。簡単な例をあげてみると、サイコロの目は見ただけで瞬時にわかり、いくつあるかなど数えてません。サイコロに限らず、数個のものが配置されているときに、瞬時にその数全体を認識できます。このスキルはSubitizingとよばれています。

 

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まず、"Subitizing"と表現されている、小さな数の認識を身につけることが必要ということです。これを身につけると、より多くのものの数を数えることができるようになります。また足し算や引き算などのより複雑なスキルの獲得につながるというのです。

 

実際に、小数の認識を体験させるには、1~3個の物の集まりを見たときに、「(物の名前)はいくつ見える?」という質問に答えさせるようにします。1,2、3のように数を数えることなく、小さな集まりの合計を言う練習をさせます。

 

幼稚園などでの教室のなかで、いつでもこういった小数の認識の練習ができます。赤色のシール、壁に貼ってある磁石、積み木など、いたるところに同じものが2ー3つ集まったものを見つけることができます。そういったものをみつけたときに、こどもに「これはいくつ?」と聞くことで練習できます。他の例として、おやつの時間にクッキーを2枚渡し、「何枚ある?」と聞くのも、練習になります。

 

もののかくれんぼは、少人数のグループでできる小数の認識の一例です。

方法は、1.少人数の子供たちと一緒に、マットの上に1~3個の物を数秒間みせる。2.布や箱で覆って、"隠している(物の名前)の数を言える人はいますか?"と子どもに聞く。3.子どもが答えたら、隠していたものが見えるようにする。4.子どもは自分の答えを確認するために数を数えることもできるし、教師は例えば「はい、2つ」と言って答えをいうこともできる。5.異なる数の物を異なる方法で並べたりして遊びを続ける。

小数の認識の練習の一例 Teaching Math to Young Children EDUCATOR’S PRACTICE GUIDEより引用

似たようなものの小さな集まり(例えば、3つの黄色い立方体)で小数の認識ができるようになったら、同じ種類だが物理的に異なるもの(例えば、黄色い立方体、緑の立方体、赤い立方体)で小数の認識の練習に移行します。

 

最終的には、関係のないもの(例えば、黄色い立方体、カエルのおもちゃ、車のおもちゃ)を一緒にして、"いくつある? "と問いかけるようにします。似たようなものを3つ集めたものも、似ていないものを3つ集めたものも「3」であることを強調することで、抽象的な数の概念を理解するようになります。

 

幼児期の発達は、しばしば用語を過剰に一般化させてしまうことがあります。例えば、”たくさん”という言葉をいいたいために、「2」と言った後にそれよりも大きい数である「3」や「5」のような数字をつかって「たくさん」を示したりすることです。

数の概念の限界を認識するために、数の例とそうでない例を対比させる方法があります。

例えば、3つのおもちゃを「3」と言うだけでなく、4つのおもちゃを「3ではない」(例:「それは4つのおもちゃで、3つのおもちゃではない」)と言うことで、子どもは「3」の意味を明確に理解することができます。