kyoneco’s blog

教育、数学、統計といったテーマについて考えていきます

長い目でみるとわずかな実力の差が大きく効いてくる

 


面白い確率に関しての記事を読みました。

解法の探求・確率 - 東京出版の公式直販オンラインショップ 東京出版WEB STORE


場合の数や確率に関する演習において大変な良書です。そのなかでも読みものとしても面白いです。その書籍 解法の探求・確率のなかで、このあとがきにもあるように、確率に関して非常にためになり、人生といった部分にも示唆を与えてくれるような記事です。具体的な計算方法や条件については該当のページをぜひ読んでみてください。具体例もわかりやすく興味を引きます。

 

その概要です。

破産の確率について、
2者対決で持ち点のとりあい、破産させる(相手の持ち点が0になる)までゲームを繰り返す。
破産の確率を決める要素は、資金量の差と実力の差

・実力が互角のとき、相手を破産させる確率の比は、資金の比となる。

・持ち点は同数だが、実力に差があるとき
→実力が相手のm倍のとき、相手が破産する確率はm^n倍

 


・実力が同じで、資金がm倍 →持ち玉の個数によらず相手が破産する確率はm倍

・持ち点は同じだが、相手よりもわずかに実力が上(m =1.1)

n= 10 →1.1 ^10 ≒ 2.6倍
n= 20 →1.1 ^20 ≒ 6.7倍
n=50  →1.1 ^50 ≒ 117倍
n=100  →1.1 ^100 ≒ 13780倍
指数関数的増加なので持ち点(試行回数)が多くなるとものすごい倍率で差がついていく
→長い目で見れば実力がすこしでも上の方が、有利

 

メモ
試行回数が多いゲームでは実力のわずかな差がものをいいます。
人生といった長いスパンのものを考えると、2者対決において能力という観点でみつめるとわずかな差が大きな差になりうるということです。2者は対人以外のクラスでも適応できそうです。こういった定式化されたもので現実の問題に対してどのように同じ要素をみつけて解釈できるかを考えることが思考の訓練になると思います。

 

テストの点数では評価が難しいが学習の基礎や基本を構成する、「能力」・「地頭」との向上・発展といった部分を意識した教育が重要です。テストで高得点をとることを目標にした暗記学習と対比されるような、数や量に対する感覚、空間や図形の認識能力、ものごとの論理性を順序だって追えること、目の前の現象から法則を抽出すること、計算の原理の理解といった「能力」開発が求められているのでしょう。幼少期からこういった、能力開発ができれば、時間とともに学力は自ずと向上し、そういった能力開発をしていない場合と比較して圧倒的な差を高校卒業までには獲得している可能性があるということになります。