kyoneco’s blog

教育、数学、統計といったテーマについて考えていきます

授業を活用することの重要性 その3

授業の考察についての続きです。

 

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1回の授業で、生徒にとって、これまで知らなかったたくさんの情報が与えられます。その情報を整理して頭の中にいれて、他の人に伝えられるようになるというのが理解するということです。例えば、授業を受けて帰ったあと、家族に「今日は学校でなにしてきたの?」と聞かれたときに、端的にその日に習ったことを言えれば、授業でやった内容について身についているといえます。情報を与えられても、そのときはわかった気になっただけで、時間が立つと忘れてしまっていたり、学習内容を再現できないというのは、授業で習ったことが身についていないため、授業を活かしきれていないといえます。


教師は授業でやったことを生徒にしっかり身につけさせるために、宿題を出します。宿題というのは、授業で扱った内容について問題をつくり、自宅でそれを解かせる課題のことです。その量や難しさといったのは教師に任されています。宿題は適切な量・質のものが与えられ、それをこなすことができれば、授業の定着はより一層すすみます。学習内容は時間とともに忘れ去られていくものです。記憶の定着に重要といわれているのは、何回もそれをみることであり、思い出すことであり、習ってから時間が立ちすぎないうちにそれらをすることです。忘れかけていたことも思い出される回数が多いと次第に忘れなくなり、知識が思い出される早さも向上します。


このように、授業ー授業内演習ー宿題といったものが一連の流れとなっています。この流れをこなすことが理想であり、授業で与えられた知識を定着させるために、このフローをこなすことが合理的であるように思います。

 

しかしながら、すべてのひとがこのフローをこなしているとは限りません。授業をやすむというのはこの第一段階でのつまづきです。第二段階のつまづきでは授業中に解説された内容が理解されていないために、授業内演習つまり当てられたときにこたえられないということがおきます。第三段階でのつまづきは、家にかえって宿題をしないことです。

 

第一段階において、授業を受けているときに、その学習内容をどのようにしたら十分に吸収できるのでしょうか。授業において基本的な構成要素として、教科書を読むというのと、教師の話を聞くということです。つまり、教科書を読んで理解するという部分と教師が授業の該当部分の解説をしたときに理解するという部分に対応します。

前者は国語力のなかでも、読解力が高いほど、教師の解説前に教科書に書かれたことを読み取り、内容を把握することができます。例えば、今日はこの部分をやりますといわれたとき、すばやく授業内容の範囲の把握とその概要の把握ができると、授業の先読みができるようになります。この先読みというのは学習の過程において、とても大切な要素です。授業を俯瞰する視点を手に入れるということでもあります。今日はここからここまでやるのか。この範囲にはこういった大項目があり、そのなかにこういった中項目があり・・・といったように頭の中で地図をつくる行為といいかえることができます。

後者の、教師の解説を聞いて理解するのは、ある種のリスニング能力が高いほど有利といえます。話題についてキーとなる単語は聞き取れるのか、学習内容の論理的な構成を聞くだけで整理しながら理解できるか、つながりを意識して聞き取れているのかといったところです。また、板書しないが重要なことを教師がいうことがあったり、具体例として教師が述べるときにも聞く力が大切です。単に単語が聞き取れるというのだけでは不十分であり、話題が全体のなかでどういった位置づけにあるのかを意識して把握していくことが重要です。