kyoneco’s blog

教育、数学、統計といったテーマについて考えていきます

教育エビデンスを読み込んでみる

前回の記事の続きです

 

kyoneco.hatenablog.com

 

WWC | Teaching Math to Young Children

https://ies.ed.gov/ncee/wwc/Docs/PracticeGuide/early_math_pg_111313.pdf

についてもうすこし詳細に読んでいきます。テーマは就学前教育・算数・数学です。

今回のガイドラインでは、3歳から6歳の子供に算数を教えるという課題に対応しています。

このガイドラインの大枠について簡単にまとめて日本語に翻訳しています。

 

序論

学校カリキュラムの一部として、特定の算数の活動に時間を割くことは、小学校入学前や入学時の子どもの算数学習に有効であることがわかっています。

また、幼稚園入園時の算数の成績が、読書の成績に関連があるという研究結果があり、数と演算の基礎的な能力が、読書の能力の土台となる可能性があります。

 

このガイドラインは、幼児が算数を学ぶのを支援するために、5つの勧告をすべて一緒に実施することを提案しています。

勧告1では、数と演算が基本的な数学の主要な内容であるとしています。発達段階を通して数と演算を教えるための戦略です。小さな集まりを細分化し、数を数える練習をし、集まりの大きさを比較したり、数字を使った数量化機会を提供する必要があります。そして、簡単な算数の問題を解けるようにする促します。

勧告2では、幾何学、パターン、測定、データ分析という、他の4つの基礎的な数学の内容を教えることの重要性について説明しています。

勧告3と勧告4は、教師が幼児の既存の算数の知識を基に、進捗を確認して指導を可視化して、幼児の日常で用いるような算数の知識を、算数指導で使用される正式な記号に結びつける方法について概説しています。

最後に,勧告5では,教師が毎日算数に時間を割き,一日を通して算数を教室の活動に結びつける方法について提案しています。

 

エビデンスのまとめ 
数と演算に的を絞った指導を含む介入を検討した 21 の無作為化対照試験と2つの準実験研究に基づいて,この勧告に中程度のエビデンスがあるとされました.この勧告を支持する研究は、保育園、幼稚園、および幼稚園の教室で実施されています。11の研究では、数と演算のみの指導の効果を評価しており、その研究すべてが、基本的な数の概念または演算に少なくとも1つの正の効果を示していました。
研究結果は肯定的な効果を示す傾向でしたがこれらの効果の一部は、数と演算の領域で行われた指導以外の要因によってもたらされた可能性もあります。ほとんどの介入は,このガイドの複数の推奨事項に関連した実践も含んでいました。結果的には指導による正の効果は、数と演算の指導が子どもの算数力を向上させることを示していると評価されています。

このガイドラインに用いられた研究結果と勧告の対応を示した表.Teaching Math to Young Children. EDUCATOR’S PRACTICE GUIDEより引用