kyoneco’s blog

教育、数学、統計といったテーマについて考えていきます

能力は評価できて伸ばすことのできるものなのか

前の記事への考察です。

kyoneco.hatenablog.com


能力について、遺伝の影響が大きく効いていそう(50-70%)だというのは、わかりました。これはある種当たり前というところではあります。各個人の経験に照らし合わせてもそうではないでしょうか。学校のクラスでよくできる人とそうでない人がわかれる。よくできる人では別に特になにもしていないというのは誰しも思うところもあるのではないでしょうか。もちろん小さいころから塾に通っていい成績をとっているひともいましたが。

私は、潜在的な学力を決めている能力について、それを向上させることができるし、能力値として評価できる方法が存在すると考えている立場です。遺伝の影響が大きいからといってうまれた瞬間にその人の人生が決まってしまうとは考えていませんし、運や環境の影響ももちろんあるので、そうならないでしょう。

それに50%程度が遺伝の影響ということですが、これも時代の変化でかわる可能性があると思います。現在の教育では、各個人の能力については測定できておらず、そのためその能力をのばす教育ができていない可能性があります。能力の向上に介入できていないのだから、遺伝の影響が大きくでてしまっていると考えています。つまり、将来的に各個人の能力が評価できるようになり、その個々の能力に応じて最適に伸ばすことのできる方法が普及するようになれば、現在と比較して能力に対する遺伝の影響の割合が下がってくることが考えられます。

しかし、この能力を評価するのがやっかいなところだとは思います。例えば数学を例にとってみると、数学の解法を多数暗記したからといって数学の点が伸びないことがあります。試験範囲は有限であり、解法も数には限られてはいるので解法暗記数が多ければ多いほど対応できるとは思います。しかしながら、これまで出たことのない問題やパターンには対応できないという弱点があります。一方、数学の評価者が期待していることは、数学的な考え方をしっかり理解した上でそれを応用して、問題を解決できるということです。つまり、点数という評価項目において、1.暗記能力、2,数学的考え方ができるという2つの能力を考えたとき、その影響の大きさとしては2の方が大きく、かつ2が大きいひとを優秀と判断したいというのが目的となっているはずです。2.の能力については曖昧な想定としていますが、例えば、論理だてて考えることができる、図形の空間把握ができるなどといった項目となりそうです。こういった評価項目を測定するような方法を開発し評価してその影響を調べていくことによって、例えば数学の能力をひとつひとつ分析・分解していき、そのなかで大きな影響を及ぼすものに焦点をあてて訓練を施すことができれば、結果として数学的能力が向上し、点数が伸びうるということになりそうです。